平成21年度は湮滅古墳の全国集成の補足をおこないつつ、シービーエス社MapMatrixをもちいて空中写真の分析、図化を試行的に開始した。また初年度に測量調査した殿田1号墳の調査研究報告書を作成し、公表した。 湮滅古墳の全国集成の補足は栃木県、千葉県、神奈川県、静岡県、長野県、広島県、香川県について主におこない関連文献と該当する空中写真を収集し、入手したものをデータベース化した。なお21年度までに収集した空中写真は約300古墳(古墳群)で約1400枚となった。 シービーエス社のMapMatrixをもちいて空中写真の分析は、これまでの空中写真判読機をもちいた実体観察によって撮影状況、条件の良いものを選定し、墳丘形態の観察、図化を試みた。本年度は約10基の古墳について分析したが、平面座標の精度が高く、古墳の平面形態、規模に関して十分に復元できることが了解された。ただし、垂直座標に関しては、精度が平面座標ほど高くないことがわかり、水準点の確保など次年度以降に課題を残した。とはいえ、新たな資料の抽出に成功し、首長墓系列の再検討に見通しを得た。 このように21年度はデータベースの補足作成、空中写真の判読、図化を中心に研究作業を進め、高精度図化に見通しを得るなど、一定の成果を得た。
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