急速な経済成長に伴う国土開発は多くの遺跡をなきものとし、埋蔵文化財保護システムの確立以前には記録の無いままに損傷、湮滅していった古墳も少なくない。あるいは調査が実施された古墳でも埋葬施設の解明に力点が置かれ、墳丘に関して今日的な資料精度を保つものがなく、墳丘形態の比較研究に支障をきたしている。本研究はこのような資料不在の状況を打破し、再検討の可能性を確保するために、湮滅する前に残された記録のうち、1945年より列島各地を撮り続けている空中写真を用いて前方後円墳築造企画の復元を以下の点を踏まえて目指している。 (1)湮滅古墳のデータベース作成。 (2)湮滅古墳の撮影された空中写真の検索、データベース作成。 (3)空中写真の収集。 (4)空中写真の実体観察、湮滅古墳の墳丘形形態の復元、図化。図化方法の確立。 (5)復元、図化した資料の精度確認(現存する古墳での空中写真による復元等高線図と現地での測量調査による測量図との比較によるチェック)。 (6)湮滅古墳の網羅的な図化。 (7)図化資料の考古学的検討(首長墓系列の再検討)。
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