研究分担者 |
関戸 明子 群馬大学, 教育学部, 准教授 (50206629)
島津 俊之 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (60216075)
荒山 正彦 関西学院大学, 文学部, 教授 (70263184)
中島 弘二 金沢大学, 文学部, 准教授 (90217703)
福田 珠己 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (80285311)
|
研究概要 |
本年度も昨年度に引き続き,各研究班において個々の研究を深化させていった。郷土教育研究班と制度的介入研究班は,郷土概念と地理教育の偶有的な接合関係について,明治19年「小学校ノ学科及其程度」を事例に,郷土概念が文部行政に登場し始める際のキー・パーソン(山田行元,西村貞)を明らかにしたし,郷土教育のローカルな展開の具体的な様態については,明治43年群馬県における教育品展覧会と郷土誌編纂事業の共働性ならびに結びつきを明らかにした。郷土表象の展開研究班では多角的な局面から様々なテーマのもとで研究がすすめられた。たとえば,郷土博物館関連では,「郷土」の視覚化に大きく貢献した棚橋源太郎の博物館論が検討されたし,郷土教育とは離れた場における展開についてみれば,郷土とツーリズムの接合関係についても観光関連の諸言説を資料に具体的な事例研究がすすめられた。また楠木正成が1930年代に国家的なるものと地域的なるもののはざまでいかに意味づけられ,関連催事や関連事物の形成を通して人々のアイデンティティを刺激したかが,神戸の湊川神社を事例に分析された。さらに第一次世界大戦後の日本の地方都市における地域住民組織において「郷土」概念が地域住民統合においていかに機能したかについても,門司市の町総代制度を事例に分析が進められた。 なお今年度の研究成果の一部は,2008年12月にソウル国立大学で開催された第5回East Asian Regional Conference in Alternative Geographiesにおいて発表され,また,2009年3月に帝京大学で開催された日本地理学会春季学術大会においても,シンポジウム形式(地理思想としての郷土-ローカルな範域をめぐる諸実践-)で報告された。
|