現在の運行共用者責任という特別不法行為責任と自賠責保険という強制責任保険による賠償資力確保とから構成されている自動車事故に係る責任と保険のシステムは、自賠法制定後50年余を経ており、自動車交通は立法当時前提とされていたものからは大きく変化し、この間判例や実務がこの変化に対応してきたが、近時は自動車交通にコンピュータと情報化を利用したITSとよばれる高度なシステムの導入が進められるなど、今後さらに大きな変化が生ずることが予想される。本研究は、このような状況を踏まえて、自賠法と自賠責保険を中核とする責任と保険のシステムについて総合的に問題を洗い出し、これを解決するための立法その他の提言をすることを目的とする。
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