本研究では、大学卒業者が卒業時点において社会で共通して求められる能力・態度・価値観等々の習得を目指す概念であり、高等教育の成果指標として有効性が論じられているジェネリックスキルの育成に注目し、その修得についてメカニズムと具体的な育成方法を明らかにすることをねらいとしている。この目的の下、3年目は、国内の大学を対象とした質問紙調査、海外の研究者を招聘しての国際ワークショップの実施、海外訪問調査を中心に研究を進めた。その研究成果として、第1に、質問紙調査については、国内の複数大学を対象として、学生本人、教員の二者が当該学生本人をどのように評価しているのかに関する調査を実施し、場面に応じたジェネリックスキルの測定方法の可能性を探ることができた。第2に、国際ワークショップについては、アメリカでジェネリックスキルおよび教育プログラムの開発・評価に携わっている研究者を招聘して、学士家庭教育のアウトカム評価とジェネリックスキルの育成の先駆的方法に関するワークショップを開催し、貴重な示唆を得ることができた。第3に、海外訪問調査については、アメリカの大学訪問調査を行い、教育内容だけでなく教育方法や評価方法と連動した教育プログラムを組織的に開発している事例について情報収集を行うことができた。
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