研究課題
わが国の高等教育機関における修士課程教育の現状を調査し、従来型のおもに研究者養成を目的とした教育から、広く専門職業人養成のための教育へと転換が図られているのではないか、との仮説にもとづき研究をおこなった。具体的には前年(平成20年)度おこなった全国国公私立大学理工系大学へのアンケート調査を分析し、わが国の理工系修士課程および博士課程(前期)教育プログラムの特質を明らかにした。アンケート内容は、研究室の規模、担当教員あたりの所属学生数、留学生の有無、から、修士論文実験、論文審査の方法、最終試験の実施方法まで多岐にわたるものであったが921専攻の74%にあたる684専攻から回答を得るという高い回収率を示した。まず、集計、整理したものをアンケートに回答を得たすべての専攻にフィードバックした。(研究実施計画1)さらに解析の結果、伝統的に大学教員の側には、研究者として育成することが学生にとって最良の教育であるとの認識が依然としてあり、修士学生の大半が企業等に就職することを考えると学生や企業が求める修士課程で身につけるべき能力との間に齟齬が生じているのではないかということがアンケートでも確認された。したがって中教審その他の施策が本格的専門職業人養成をめざすのであれば、教員採用や評価においても研究業績重視だけでは不十分であると思われる。教育方法等に関する教員の意識改革が必要ではないだろうか。(研究実施計画2)また、学生の流動化、グローバル化が進む現在、質保証の観点から、ヨーロッパ諸国(フランス、ドイツ、オーストリア、イギリス他)アメリカ、太平洋地域における修士課程教育との比較をおこなった結果、特に理工系修士課程教育いついては、わが国の修士課程教育は国際的にもおおむね高い水準にあることが判明した。このことを大学院学生の交流(双方向の留学)の活性化に結び付けることが今後の重要な課題であろう。(研究実施計画3および4)
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大学評価・学位研究 第11号
ページ: 63-75
1990年代以降の大卒労働市場-就職活動の3時点比較、大卒就職の社会学-データからみる変化(刈谷剛彦・本田由紀編)(東京大学出版会)
ページ: 87-105
Proceedings of the Combustion Institute Vol.32
ページ: 2187-2194
ICROSS-SICE International Joint Conference
ページ: 1189-1194