研究概要 |
研究代表者は,前年度の研究により,ベキ根での量子旗多様体に関するベイリンソン・バーンシュタイン型定理の証明ができあがったものと思い,論文を書き始めた.約100ページの論文が完成したかと思ったが,最終段階で証明の不備が見つかり.再検討を余儀なくされた.微分作用素環の東屋性に関しては問題がないので,この部分だけはプレプリントサーバーにおいて公開した(この部分だけでも70ページ近い量になった).残りの部分の証明に時間を費やしたが,完成には至っていない.ただし次のような方針でできるのではないかと思い検討中である.まずべイリンソン・パーンシュタイン型定理を示すには,量子微分作用素環自身の高次コホモロジーの消滅と大域切断の空間が量子包絡代数のある商になることの2つが示されればよいことがわかる.量子包絡代数に関しては,そのある種のフィルター付けが,デコンチニ・プロチェジらにより構成されており,対応する次数付き環は可換ではないが簡単な構造を持っている.このフィルター付けが,量子微分作用素環のフィルター付けに自然に拡張できるのでけないかと思われる.そうだとすると量子微分作用素環の退化版(次数付き環)が定まるが,これに関してはコホモロジーの消滅定理などが比較的容易に示されるものと思われる.量子微分作用素環自身のコホモロジーは退化版に関する性質を用いて証明できるはずである.今後は,以上のような方針で研究を続行し,この研究の完成にこぎつけたい.
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