研究実施計画では古田は6月にポーランドにおける研究発表、また7月にTian-Jun Li教授との共同研究を実施する予定であった。しかし、公務のためスケジュールが合わず実施は見送られた。ブランダイス大学のDaniel Ruberman教授を秋に一ヶ月招聘し、京都大学においてワークショップを行った。またRuberman教授を東京大学に招待し研究連絡を行った。ゲージ理論の専門家である中村信裕氏を雇用し、古田が2年前に見出した局所係数つきSeiberg-Witten方程式について研究を進めた。22年度の研究目標と、上の研究実施による成果・進展は次のとおりである。 1目標:Donaldon理論において一般コホモロジーを用いた不変量の幾何学化を、線形Fredholm理論の幾何学化に基づいて行い、Floerホモトピー型の定式化を行う。 成果:Li氏と古田との共同研究において大域的倉西構成を利用した定式化について議論された。しかし上の目標についての明確な成果にまで至らなかった。 2目標:線形Fredholm理論の範囲の局所化現象の応用を行う。 成果:古田は吉田尚彦(明治大学)、藤田玄(学習院大学)との共同研究により、トーリックの場合、球面上の測地流、Toricの場合の局所化の確立まで行った。 32年前の研究成果の延長として 成果:中村信裕氏によって、非単連結4次元多様体の交叉形式に関する新しい制限が得られた。古田によって、関連する不変量の和公式に関して、予想が定式化され、証明が部分的に行われた。
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