研究課題/領域番号 |
19340028
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中村 玄 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (50118535)
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研究分担者 |
磯崎 洋 筑波大学, 数理物貭科学研究科, 教授 (90111913)
山本 昌宏 東京大学, 大学院・数理科学研究所, 准教授 (50182647)
本多 尚文 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (00238817)
代田 健二 茨城大学, 理学部, 准教授 (90302322)
渡邊 道之 東京理科大学, 理工学部, 助教 (90374181)
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キーワード | 散乱の逆問題 / 境界値逆問題 / 熱伝導方程式 / nc respcnse test / probe methcd |
研究概要 |
2007年度の研究計画では、偏微分方程式の未知境界同定問題と未知係数同定問題とに的をしぼり、未知境界や未知係数を観測データから構成するスキーム(以下逆問題の解の再構成とよぶ)について研究することを目的とした。このような逆問題の応用面に於ける典型例としては、材料・構造物内の亀裂などの形状や材料内部の物理特性を非破壊的に調べる非破壊検査法の数理を挙げることが出来る。 2007年度の研究成果は、次の(i)、(ii)、(iii)である。(i)障害物による音響散乱逆問題について、未知障害物境界の非解析点(即ち、未知障害物境界が解析的でない点、例えば未知障害物境界が角を持つ点など)を、有限個の入射波に対する散乱波の遠方場を観測する事により再構成可能であることを証明した。証明方法は、no response testと呼ばれる方法の収束証明の一般化と実解析的係数を持つ階楕円型方程式の解が定める解析的集合の特異性の解明からなる。(ii)定常熱伝導体内の未知境界即ち亀裂、空洞、介在物などの形状同定逆問題について、従来から知られている再構成手法であるprobe methodを、非定常熱伝導体に対して拡張することに理論的に成功するとともにその有効性を数値実験により示した。証明の核心は、所謂反射解と呼ばれる解の主要部の導出とその挙動解析にある。(iii)媒質境界における有限個の観測データにより大変形を伴う圧電素子の特性を同定する逆問題に対する再構成スキームをあたえた。この問題は、空間1次元非線形波動方程式の斉次非線形項のTaylor係数同定逆問題を、媒質境界における有限個のCauchy dataから再構成する問題である。証明の核心は、この逆問題に付随する順問題(即ち非線形波動方程式の初期値境界値問題)に対して、ゼロ初期データとエプシロンオーダーのDirichletデータを与えたとき、エプシロン展開可能な解を構成し、それを逆問題にうまく応用することである
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