研究分担者 |
吉野 正史 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00145658)
松本 眞 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70231602)
岩田 耕一郎 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20241292)
川下 美潮 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80214633)
須川 敏幸 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30235858)
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研究概要 |
本年度の研究計画では,「タイヒミュラー測地流とRVZ誘導変換に対する熱力学形式の応用として既に得られている結果の整理を行い,タイヒミュラー測地流のどのようなエルゴード理論的性質が,曲線のモジュライ空間のセルバーグゼータ関数のどのような解析的性質と対応しているかを吟味し,対応表を作成することに重点を置く」としていた。当初の計画に沿って,研究代表者・分担者が,広島大学で開催している確率論・力学系セミナー,数理解析セミナー,複素解析セミナーへ,必要に応じて他研究機関の研究者を招いて,本研究と関する最近の研究結果や研究手法について研究連絡・討論を行った。また,本研究と関連する広範な分野からの講演者を招いて,平成19年11月9日,10日に広島大学において研究集会「力学系と微分方程式」を開催した。これらの研究・交流活動の中で,優先して取り組むべき興味深い研究対象が次々現れたため,「対応表」には予想したものより多くの項目を取り込み,さらに充実させる必要が生じ,その具体的な作成までは至っていないが,当初計画した具体的な研究については,ほぼ満足すべき成果を得た。とくに,繰り込まれたRVZ誘導変換に対しては,局所型中心極限定理を,タイヒミュラー測地流の懸垂流表現で現れる天井関数等の特別な関数を含むクラスに対して証明することができた。その応用の一部については,平成19年8月6日_8月10日,名古屋大学で開催された国際研究集会「Spectral Analysis in Geometry and Number Theory」の招待講演(題目:Renormalized Rauzy-Veech-Zorich induction)で発表した。
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