研究課題/領域番号 |
19340038
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
盛田 健彦 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00192782)
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研究分担者 |
杉田 洋 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50192125)
磯崎 泰樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (90273573)
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キーワード | タイヒミュラー空間 / エルゴード理論 / ブラウン運動 / 熱力学形式 / 生成作用素 / ディリクレ形式 |
研究概要 |
「曲線のモジュライ空間で構成可能な拡散過程の中で、どのようなものが標準的なブラウン運動に当たるものなのかを特定する」という研究の遂行中に、そのような拡散過程の構成問題が、当初の想定以上に難しい問題であることが判明したため、タイヒミュラー計量に関するブラウン運動の候補と思しき拡散過程の構成に時間を割いた。当初計画していた確率微分方程式による方法は一旦回避し、生成作用素による特徴付けおよびディリクレ形式の特定の2通りの方法で議論した。得られた結果具体的に述べると、タイヒミュラー計量に滑らかさがあったと仮定して形式的な計算を実行することにより、'ほとんどいたるところ'連続な係数をもつ拡散生成作用素を具体的に求めることができた。さらにこの作用素がBusemann-Hausdorff測度に関して発散形をしていることを導き、ディリクレ形式の理論が適用可能であることも確認した。一方、以上の方法とは別にSturmが距離付き測度空間で行った飛躍過程のディリクレ形式のГ極限として拡散過程のディリクレ形式を導出する方法により、タイヒミュラー距離から保存的かつ過度的な拡散過程を構成した。これらの結果については更に詳細を精査したのち研究論文とする予定である。 この他、上記の研究の技術的な副産物として、既に公表済みの記号力学系の特異摂動に関する論文の補足的な結果を得て、平成22年8月31日~9月3日北海道大学で開催された研究集会「Dynamics of complex systems (DCS) 2009」における招待講演で報告した。
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