本年度は、これまでの解析で用いていた度ゆらぎの非等方性に加え、偏光のデータも使用して初期密度ゆらぎのスペクトルの形を解析した。これまで用いていた反転法の結果を援用しながら、マルコフチェンモンテカルロ法による正方向の解析を行った。その結果、これまで得ていたスケールと同じ700Mpc程度のスールにスケール普遍スペクトルからの有意なズレがあることを確認した。そしてその統計的有意性を初めて正確に求め、4σ以上の大きな有意性を持っているこを明らかにした。このようなズレが単純なべぎ乗ペクトルからこのスケールに得られる可能性は1万の1以下、いずれかのスケールに現れる可能性も千分の一以下である。 宇宙背景放射の温度ゆらぎの非等方性から、宇宙の晴れ上がり時から現在までに微細構造定数がどの程度変化しても良いか、その制限を求めた。ここでは特に特定のストリングモデルを用いることにより、陽子・電子の質量比の変化も併せて考察することにより、強い制限が得られることを示した。 密度ゆらぎが特定のスケールに大きなピークを持つような場合、特定の質量の原始ブラックホールができることになる。このとき2次摂動論によってテンソルゆらぎである重力波も同時に生成する。われわれはブラックホールの質制限が得られることを示した。 素粒壬物理のモジュライ問題について、モジュライ場がもたらす等曲率ゆらぎから宇宙論的に強い制限が得られることを示した。 加速膨張宇宙の一つのモデルであるf(R)重力理論における宇宙パラメタの挙動と密度ゆらぎの発展を数値的に求めた。
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