宇宙初期に生成した密度揺らぎのスペクトルは、宇宙背景放射探査衛星WMAPによって温度揺らぎとして測定されていますが、その観測誤差は、今や見込む角度の逆数に対応するマルチポールl=400程度までは、測定法や解析法を原因とする誤差よりも、観測できる宇宙が一つしかないことに起因するコズミックバリアンス(宇宙論的バラツキ)によるものの方が大きく、今後観測技術がどんなに進歩しても、これ以上の誤差の減少は見込めないところまで来ています。本研究の第一の目的はアンサンブル平均としての宇宙論パラメタを求めるのではなく、われわれ自身の宇宙の初期揺らぎを求めることによって、この問題を克服することです。また、揺らぎ生成の理論的な観点から、単純なべき乗則によらない揺らぎを生成する可能性を追求するとともに、その検証法を検討します。
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