研究概要 |
この研究においては、核融合燃焼プラズマの輸送理論の基盤を展開することを目的とするが、特に次の点を焦点とする。即ち、トロイダルプラズマの乱流や構造形成の理論およびそれらの実験による検証など、基礎的な方法論に関する近年の急速な進展を、核融合反応が起きているプラズマへと適用し、将来の核融合実験炉を用いた研究に必要となる輸送理論の基盤を提示することである。トロイダルプラズマの乱流輸送現象が、微視的な揺動の非線型発展だけではなく帯状流などメゾスケール・ダイナミックスや、巨視的径電場など、異なるスケールの非線型過程の結合に強く影響されていることを重視する。昨年度までに研究の具体的構想をたて、核融合燃焼過程と多スケール結合効果を繰り込んだ乱流輸送の理論を開拓し、平行して、その原理の検証法を提案するための手順を考えた。トロイダルプラズマを例として取り、ミクロ乱流ダイナミクスと帯状流などのメゾスケール構造との結合を繰り込み研究した。具体的には、微視的乱流の相関長と、メゾスケール揺動の相関長が異なる事に着目して理論を定式化した。この機構に着目すると、空間的にはなれた位置の(直接は相互作用しない)微視的乱流揺動が、メゾスケール揺動を介しエネルギーのやり取りを持つという、従来研究されてこなかった過程を解析する事が出来る。基本的な考え方を“Seesaw Mechanism in Turbulence-suppression by Zonal Flows"by K. Itoh, et al., J. Plasma Fusion Res. Series (2009) in pressに示している。周辺で乱流が増えプラズマ閉じ込めが劣化する場合、かえって中心部では閉じ込めが改善されることが予言された。次ページに記す成果を得た。
|