研究概要 |
まず、四重極質量分析計を用いて液体窒素冷却下でのN2-02放電における反応生成物を調べた。その結果、反応生成物は主にO3, NO, N2Oであった。また、窒素流量を増加させるか、放電周期を短くすることにより反応生成物はO3-richからNOx-richへと変化することがわかった。 次に、四重極質量分析計を用いて反応生成物の中の窒素同位体組成を分析した。その結果、パルス放電において、平均電流値を一定としながらパルス幅を数μsから数msの間で変化させた場合には、パルス幅が広いときの方が高い分離係数が得られた。しかしこの場合、パルス幅だけでなくパルスピーク電流値も数Aから数mAまで変化してしまっており、ピーク電流の観点からはピーク電流が小さいほど高い分離係数が得られたと言える。今後はパルス幅とパルスピーク電流値を独立に制御可能なパルス電源を用いて実験を行う予定である。 連続放電に置いて電流値を変化させた場合には、電流値が低いときほど高い分離係数が得られた。電流値が0.4mAのとき、分離係数の最大値1.64が得られた。この値は、これまでに報告されているプラズマ化学法の窒素同位体に関する最大分離係数1.21(Manucciaら)を大きく凌いでいる。 分離係数を電流密度に対してプロットすることで、我々のパルス放電と連続放電の結果、およびManucciaらのパルス放電の結果が全てのデータを一本の曲線で近似できることがわかった。
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