研究課題/領域番号 |
19360424
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 正昭 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70114874)
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研究分担者 |
森 伸介 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (80345389)
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キーワード | プラズマ / 反応・分離工学 / 原子力 / 同位体分離 / 窒素同位体 / 高速炉 / 窒化物燃料 / プラズマ化学反応 |
研究概要 |
平成20年度までに窒素同位体分離係数の最大値1.64を得た。これはManucciaらの文献値1.21を大幅に上回る値である。本年度は、更なる分離係数向上のための手法の検討を文献調査や数値計算によって行い、(1)希ガスを添加することで換算電界を減少させ電子エネルギーを減少させる、(2)電界強度の弱い非持続放電を用いて電子エネルギーを減少させる、の二つの方法が有効であることがわかった。そこで、(1)に関して実際にN_2/O_2プラズマにArを添加し分離実験を行い、分離係数の測定を行った。N_2/O_2=5/0.25sccmを固定したまま、Ar流量を0から15sccmまで増加させてゆき分離係数の変化を調べたが、分離係数は実験誤差の範囲内で一定であり、Ar添加の効果は見られなかった。次に(2)に関して、極短パルス励起非持続放電が有効であることを文献調査から見出した為、高速応答高電圧半導体スイッチを購入し、極短パルス電源を作製した。そして、放電管外部に巻きつけた電極に極短パルス高電圧を印加し、放電管内部の電極には放電維持電圧以下の電圧を印加することで、非持続放電を生成することに成功した。この装置を用いて同位体分離実験を行った結果、生成物中へ窒素15が濃縮した。しかし、その分離係数は最大で1.3程度であり直流放電の結果を上回ることは出来なかった。これは、極短パルス放電中に生成する選択性の低い生成物量が、非持続放電場で生成する量に対して無視できず、生成物全体の分離係数を減少させてしまった為と結論された。最後に、分離係数、反応収率、消費電力の実験データを用いてプロセスシミュレーションを行った。その結果、本プロセスの運転コストは市販の窒素15の価格と同程度であった。滞留時間の増加や電極配置の最適化によって反応収率を増加できれば、十分実用化可能なプロセスであるとの結論を得た。
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