研究課題/領域番号 |
19360426
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山根 義宏 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60115649)
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研究分担者 |
山本 章夫 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50362265)
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キーワード | 原子力エネルギー / 放射線 / 加速器駆動炉 / 未臨界監視 / 中性子相関法 / ロッシ・アルファ法 |
研究概要 |
平成21年度は最終年度にあたり、ロッシ・アルファ法により加速器駆動炉(ADS)の未臨界度監視を行うのに必要な、以下の問題点を検討した。測定面では、液体シンチレータ検出器で高速中性子場を測定する際に問題となる、中性子-ガンマ線弁別が即発中性子減衰定数測定に及ぼす影響について検討した。その結果、ガンマ線成分の混入は、非相関成分の増加と同様の結果を引き起こし、相関成分の分離が悪くなり、その減衰定数である即発中性子減衰定数の決定が困難となる事が示された。さらに昨年度の研究で、高出力炉においては相関成分が非相関成分に埋もれてしまい、即発中性子減衰定数を評価できなくなる問題点が指摘されていた。これを回避するデータ処理法の検討として、ロッシ・アルファ法に代わる方法の文献調査を行った。これまでロッシ・アルファ法に相補的な測定手法として、ファインマン・アルファ法が知られているが、最近の文献の調査においても、ファインマン・アルファ法に基づいた手法の提案は認められるものの、それ以外に有効な手法の提案を見出すことができなかった。 一方、理論面では、昨年度と同様に出力800MWのADSを想定して、未臨界度監視装置に要求される検出器配置についてシミュレーションにより検討を行った。半径約2mの体系中央に鉛-ビスマス・ターゲットを設置したADSを想定して、中央から0.5、1.0、1.4mの位置に検出器を配置した。我々が開発した2次相関量まで計算できる計算手法を用いて、各々の検出器位置について非相関項に対する相関項の割合を求めた。その結果、相関項の割合が高く、測定に最適な検出器位置は、ターゲットから遠い1.4mの位置であることが分かった。これは、実機における検出器設定に対する有効な知見となる。
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