研究課題
80日齢のリンゴ実生を供試し、アブシシン酸(ABA)8'位水酸化酵素に特異性が高いと考えられる、新規に合成したウニコナゾール類縁体を実生に散布処理し、ABA代謝、水分ポテンシャル、気孔開度などに及ぼす影響を観察した。さらにABA合成経路の中で、ABAの上流に位置する酵素であるネオキサンチン酸化開裂酵素(NCED)およびABAの下流に位置する酵素であるABA8'位水酸化酵素(CYP707A)遺伝子の単離を行い、乾燥ストレスおよびABA代謝との関連を検討した。ウニコナゾール類縁体を処理した実生の内生ABA濃度は、無処理区に比較して高く推移した。一方、ABA代謝物の内生ファゼイシ酸(PA)濃度は、ABAと逆の傾向を示した。また、葉の水分ポテンシャルは無処理区に比較し、処理区で高く保持された。加えて、気孔開度は処理区で速やかに低下した。これらの結果は、ウニコナゾール類縁体がABA8'位水酸化酵素活性を抑制し内生ABA濃度を高め、気孔閉鎖を早めおことを示唆する。MdNCEDの発現は、水分ストレス処理後大きく増加した。しかしながら灌水後、その発現は急激に低下し内生ABAの推移と一致した。ウニコナゾール類縁体を処理した実生のMdCYP707Aの発現は、処理24時間後速やかに減少した。しかしながら、乾燥下ではMdCYP707Aの発現は徐々に増加した。これは乾燥下での内生ABAの増加に原因するものと考えられた。乾燥ストレス処理20日後、無処理区の実生は枯死したが、処理区の実生は生存できた。処理による内生ABA蓄積の作用と考えられた。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Bioorganic & Medical Chemistry Letters 19
ページ: 5782-5786
Bioorganic & Medicinal Chemistry 17
ページ: 6620-6630