研究課題
基盤研究(B)
リンゴ実生を供試し、アブシシン酸(ABA)8'水酸化酵素阻害剤(AHI)の処理がリンゴ実生内のABA代謝、気孔開度、水ポテンシャル、ネオキサンチン酸化開裂酵素遺伝子(MdNCED)発現に及ぼす影響などを検討した。AHI処理は灌水下での処理後24時間以内に気孔開度を減少させた。乾燥下での水ポテンシャルは、AHI処理区では無処理区に比べ高く維持されたが、乾燥処理後の日数とともに徐々に低下した。しかしながら、その後の再灌水は水ポテンシャルを元のレベルまで回復させることができた。乾燥条件は無処理区でも内生ABA濃度を上昇させたが、AHI処理葉のABA濃度は、無処理に比べ高く推移した。MdNCED遺伝子の発現は乾燥下で上昇したが、AHI処理区での乾燥下での発現レベルは無処理に比べ低下した。この結果はAHI処理により水ポテンシャルが高く維持されたためと推察される。本研究は、ABA8'水酸化酵素の制御が乾燥条件下での植物の生存率を向上させる技術となる可能性を示唆する。
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