研究課題
我々のこれまでの研究結果から、心臓型アデニル酸シクラーゼは末梢組織では心臓に選択的に発現すること、同酵素サブタイプの欠損によっても心機能の低下は見られないこと、しかるに圧負荷状態においては心機能維持に貢献することなどがわかっている。そこで慢性カテコラミン負荷状態における心機能の変化および心筋生存性に、同サブタイプの果たす役割を検討した。すでに予備実験の結果から、慢性カテコラミン負荷時においても、通常のマウスに見られる心機能低下がみられず、心筋細胞の生存性が保たれている可能性がある。この理由として、cAMPシグナル系のダウンレギュレーションメカニズムないし心筋細胞内のAkt等を中心とする細胞保護シグナルに心臓型サブタイプが役割を果たしている可能性がある。1.cAMPシグナルのダウンレギュレーションcAMPシグナルのダウンレギュレーションは過剰なカテコラミンシグナルに対する防御反応の一種であり、受容体レベルでの制御を中心とし、標的酵素レベルでの変化はすくないとされていた。心臓型アデニル酸シクラーゼ欠損動物の所見から、標的酵素レベルの変化が、心臓型については見られる可能性があり、心臓型欠損モデルと、過大発現モデルとの比較によって、心臓のカテコラミンシグナルのダウンレギュレーションにおけるアデニル酸シクラーゼサブタイプの果たす役割を実証した。2.心筋細胞の生存性Aktシグナルの調節は、細胞保護作用と関連するとされるが、cAMPシグナル自体がAkt系の調節に関与している可能性がある。そこで慢性カテコラミン負荷実験において、心臓型アデニル酸シクラーゼ欠損および過大発現モデルにおいて、それぞれどのようなAkt系のシグナル制御の上下変動が起こることを示した。3.心臓型アデニル酸シクラーゼの薬物制御これまでに解析された薬物以外に、心臓型アデニル酸シクラーゼの活性調節が可能な薬剤を検討した。
すべて 2007 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol. 293
ページ: H1662-1672
Am. J. Physiol. Cell. Physiol. 293
ページ: C1498-1508
Letters in Drug Design & Discovery 4
ページ: 434-441
Pediatr. Res. 62
ページ: 392-398
Circulation 116
ページ: 1776-1783
Physiol. Genomics 31
ページ: 139-157,
日本病態生理学会雑誌
ページ: 26-43
http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~seiril/index.html