研究課題/領域番号 |
19390220
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
北風 政史 国立循環器病センター(研究所), 臨床研究開発部, 部長 (20294069)
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研究分担者 |
朝倉 正紀 国立循環器病センター(研究所), 心臓血管内科, 医長 (80443505)
金 智隆 国立循環器病センター(研究所), 心臓血管内科, 客員研究員 (30393226)
小粥 章子 国立循環器病センター(研究所), 疫学部, 室員 (90359274)
友池 仁暢 国立循環器病センター(研究所), 病院, 院長 (90112333)
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キーワード | アデノシン / 心不全診断 / 心不全治療 / トランスレーショナル研究 / 臨床試験 |
研究概要 |
心不全・心臓虚血障害の形成に至る過程に深く関与する生理物質アデノシンに着目し、その病態における役割を検討してきた。アデノシンは循環血中に存在し、3種類の受容体を介して心筋細胞、血小板、血管細胞、白血球に対してさまざまな生理作用を有することが知られている。上記の細胞を標的とすることから循環器病での役割が当初より注目されており治療の標的として重要視されている。本年度は、心不全・心筋虚血に対するアデノシンの改善効果をより臨床応用に近づけるため以下の検討を行った。 (1)心不全患者でのアデノシン合成酵素の測定 36例の心不全患者から血液を採取し、血中のアデノシン濃度および心筋組織でのアデノシン合成酵素の血中濃度の測定を行った。結果、心不全患者においてはその重症度に応じて、冠静脈アデノシン濃度が有意に高値を示した。さらに組織でのアデノシン合成酵素の蛋白量が心不全心筋で増加していた(Fujita M et al J Card Fail 2008)。このことは心不全の病態におけるアデノシンの重要性を示唆すると共に、これらを測定することが心不全の重症度の指標となることを示唆する。現在は抗体を使用した方法でアデノシンの測定を行っているが、今後質量分析計などを利用したより高感度で多検体を処理できるシステムを構築し、心不全診断・治療の指標とする予定である。 (2)リポゾームを用いたアデノシンによる心臓虚血障害治療 本年はアデノシンの虚血障害改善作用を増強させるべく、リポゾームに内包したアデノシンを使用することにより動物モデルでのアデノシンの効果検討を行った。結果、リポゾーム化アデノシンが血圧を下げるなどの全身作用をきたすことなく虚血障害を改善することを確認した。今後の臨床応用が期待できる(Takahama H et al J Am Coll Cardiol 2009)。
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