研究課題/領域番号 |
19390306
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
神庭 重信 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (50195187)
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研究分担者 |
中別府 雄作 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (30180350)
川崎 弘昭 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (50224762)
鬼塚 俊明 九州大学, 大学病院, 講師 (00398059)
前川 俊彦 九州大学, 大学病院, 助教 (40448436)
本村 啓介 九州大学, 大学病院, 助教 (60432944)
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キーワード | 双極性障害 / グルタミン酸 / 聴覚ミスマッチ陰性反応 / c-Fos / 扁桃体 / 分界条床核 / アデノシン受容体 |
研究概要 |
臨床研究では、グルタミン酸神経機能の評価として聴覚ミスマッチ陰性反応(Mismatch Field:MMF)を記録している。平成19年度においては高密度306チャンネル脳磁図計を用いて、久山町より募集した被験者を含む健常ボランティア24名(男性10名、女性14名)、双極性障害患者5名(男性2名、女性3名)の聴覚MMFの測定を行った。平均年齢は健常ボランティア群で38.1±15.3歳、双極性障害患者群で38.4±8.9歳であった。健常ボランティアでは全被験者にて聴覚MMFが認められ、聴覚MMFの脳内における電流源推定が可能であった。今後は被験者数を増やし、両群における聴覚MMFの磁場強度および電流源について解析を進めていく予定である。本研究における遺伝学的研究は、セロトニントランスポーター(5HTT)、アデノシン受容体(ADORA1)、NIMHがゲノムワイドスキャンにより同定したイノシトール情報伝達系のDGKH、各遺伝子の相関解析を主として施行した。理研・脳科学総合研究センターと共同で、日本人健常非罹患群370名、罹患群366名のゲノタイピングを施行したが、我国では5HTT遺伝子(SERTPR)のゲノタイプ頻度のみで優位差が認められた(P=0.0002)。本障害に罹患する日本人は、遺伝学的には5HTT遺伝子の強い関与が考えられた。 基礎研究では、野生型(WT)マウスにおいて、lipopolysaccharide(LPS)投与に対する脳内ストレス反応を検討した。ニューロンの反応は最初期遺伝子c-Fosの発現パターンによって調べた。LPS1mg/kg投与2時間後では、分界条床核腹内側部、視床室傍核、視床下部室傍核・視交叉上核および脳弓周囲外側野、扁桃体中心核内側部、結合腕傍核、孤束核などの部位にc-Fosが見られたが、投与24時間後には消失していた。Iba-1の免疫染色によって調べたマイクログリアの分布および形態の変化は、c-Fosとは対照的に2時間後よりも24時間後のほうが顕著であり、視床下部弓状核および腹内側核、海馬、脳室周囲器官(脳弓下器官、最後野)において明らかであった。
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