研究課題
基盤研究(B)
我々はアルツハイマー病と最も関係が深いとされるコリン作動性神経系に着目し、その中でも前シナプスに存在するアセチルコリントランスポーター(VAChT)の可視化が可能な分子イメージング剤の開発研究を行った。ベサミコールを基本骨格として、我々は新規にo-methylvesamicol(OMV)やシクロデカリンを有するtrans-decalin-vesamicol(DV)4-フェニルピペリジンのオルト位にヨウ素を導入したtrans-decalin-o-iodovesamicol(DOIV)の合成を行った。[^<11>C]OMVや[^<125>I]DOIVはトリメチルスズ体を前駆体として、クロスカップリング反応により、いずれも放射化学的収率30-50%,放射化学的純度>99%で得られた。学習障害モデルサルを使って[^<11>C]OMVの脳内動態を調べた結果、コリン作動性神経系に障害のある部位で[^<11>C]OMVの有意な集積減少が見られた。しかし、OMVはシグマ受容体にも親和性を示し、VAChT選択性は高いとは言えなかった。そこで、シグマ受容体への親和性を抑えるためにDOIVを合成し、薬物阻害実験により、VAChT,シグマ受容体(σ-1、σ-2)に対する親和性を調べた。その結果、OMVやベサミコールに比べてVAChTに対する高親和性、σ受容体に対しる低親和性を示したことから、VAChTに対して高親和性・高選択性を有することがわかった。動物実験においても、ベサミコール同時投与により,脳集積が顕著に減少することから、[^<125>I]DOIVは脳内のVAChTに選択的に結合していることが分かった。以上のことより、[^<11>C]OMVのVAChTイメージング剤としての可能性、さらにVAChTに対する選択的結合性に優れた[^<125>I]DOIVのVAChTイメージング剤並びにアルツハイマー病の早期診断薬の可能性が示唆された。
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Synapse Vol.63
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Nucl.Med.Biol. Vol.35
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