研究概要 |
1 生体電気インピーダンス測定時の電極装着位置の検討 電極配置を決めるにあたり,大腿部と下腿部をそれぞれ10等分し,各部分ごとに下肢インピーダンスを,ペダルが最下位置と最上位置で測定(静特性)しその差を求めた。その結果、インピーダンス測定は運動負荷試験開始後4分経過した後(4分間の安静後)に開始し、サンプリング周波数は2.5[Hz]で最もノイズの少ない信号が取得できた。 2 インピーダンスによる血液量および血液量変化の算の出法の検討 ペダル回転数と同周期で出現する変動成分を除去するため,計測したインピーダンス時系列データに対してローパスフィルタ(移動平均)処理をして平滑化を行い、移動平均の区間は前後30秒とし,平滑化後のインピーダンスZを血液量の指標として算出した。 3 漸増運動負荷時の血流再分布現象をインピーダンス法にて評価 運動時のインピーダンスの変化は、運動強度の変化とともに増加するが、運動強度がある強度を超えると、運動強度の増加比率以上に血流が増加するようになる。この点を血流再分布開始点ととらえ、健常例において、運動強度の評価として、心拍数、酸素摂取量、負荷量を定量評価し、同時に下肢インピーダンスの変化と比較検討した。その結果、下肢インピーダンスの変化は、運動強度の増加と一致せず、AT以上の強度において大きく増加する点を認めた。現在この偏曲点を血流変化点として解析中である。このポイントは、血流再分布と関連する可能性があり、現在、従来の運動耐容能(酸素摂取量、無酸素運動閾値、呼吸性代償ポイント)、筋力、筋量、心機能などとの関連につき検討している。 今後本研究にてこの関係を明らかにし、さらにインピーダンスと言う電気特性の変化より呼吸性代償、すなわち代謝性変化を推定することの妥当性につき検討する予定である。
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