研究概要 |
[目的]過熱水蒸気オーブン(以下SHと略)は,クックチルシステムに用いる新たな加熱調理器具として期待されている。しかしながら,過熱水蒸気による加熱は従来の加熱法と比べてどのような特性があるかは十分把握されていない。本研究では種々の材料を用いて行った調査のうち,スチームコンベクションオーブン(以下SCと略)とSHを用いてサツマイモの加熱を行い,これらのオーブンの加熱特性の基礎資料を得ることを目的に実験を行った。 [方法]サツマイモは,高系16号の宮崎紅(宮崎産),鳴門金時(徳島産)を用いた。スチームコンベクションオーブン(ニチワ製SCOSC-4RS)はホットエアーモード(ヒーターのみで加熱,以下SC-Cと略)またはコンビネーションモード(ヒーターとスチームで加熱,以下SC-Hと略)で200℃,過熱水蒸気オーブン(直本工業製QF-5200C)は,蒸気温,庫内温とも200℃に設定した。サツマイモは中央部分を1cm厚の輪切りとし,温度センサーを中心部に取り付けて,それぞれのオーブンに入れ,中心温95℃3分間を維持した時点で加熱終了とした。加熱中の中心温度の変化,重量変化,還元糖含量の変化を調べるとともに,官能検査により食味の比較を行った。 [結果]中心温度はSHが4分,SC-Cが5分30秒,SC-Hが8分で95℃に達した。重量変化はSC-Cでが小さく,SHで大きかった。外観は,SCよりもSHで焦げ色が強く見られた。還元糖含量は,SHで低く,SC-C,SC-Hの順に高かった。官能検査で,硬さはSC-Cに比べSC-Hが硬いと評価されたが,SHとSC-Hの間には有意差はなかった。甘さは,SC-HがSHに比べて甘いとされた。
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