地震後の火災は直接的な被害要因である地震動に対して二次的災害要因として知られている。地震時の火災による災害の大規模な拡大は日本の集落、都市構造に固有のものである。本研究の目的は、地震発生後の火災による被害の想定に基づいた地震に強い街づくり計画の作成などの支援とする。紀南地区では、都市と異なり、集落は主な住宅地の構成で、建物密度が都会より疎らであり、耐火建築が少ないのが現状である。本年度では、地域の建物の状況を調査して、木造、防火、耐火の比率の違いによって、「木造住宅多数」、「新築住宅多数」と「集合住宅多数」の3種類に分類した。その地域の特徴を考慮し、セルオートマトン法を用いた火災延焼のシミュレーションモデルを提案した。火災延焼のシミュレーションにおいて、電子住宅地図ZENRIN ZMAP TOWN IIを用いて、簡便な格子マップの作成方法を検討した。まず、電子住宅地図上で格子マップの対象地域を指定し、その地域から1メートル四方ごとにピクセルの色情報を取得する。次に、地域の市街地構成の特徴に応じて、「木造住宅多数」、「新築住宅多数」と「集合住宅多数」中から1種類を選択する。指定領域を決まった順序でピクセルごとに走査し、建物色ならば比率によりランダムでそれぞれのセルの状態を決定する。建物色でない場合、道路・空地セルとなる。セルの状態決定後、そのセルが属する建物の他のセルの状態をすべて同じものに設定する。構築した格子マップを用いて、いくつかの地域の火災危険マップを作成した。また、当地区では、海岸に近いことで、地震後の津波情報を考慮して、最適な避難経路の探索システムも検討した。
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