1. 研究内容:本研究は、19世紀の帝国主義の時代に、いかにインド以東のアジア圏の文化・風土が英語の言説に取り込まれていき、そのことによって、インドと日本近代化にどのような影響を与えたか、文化・歴史・地政学的パースペクテヴにおいて分析を行った。特に、平成21年の研究においては、イギリスを中心とする列強諸国が日本の近代化にどのような影響を与え、日本がそれにどのように対応していったかを、はば広く英語と日本語の資料を調査して分析を行った。 2. 意義:19世紀がら20世紀にかけてのイギリスによるインド統治、そしてその周辺地域の探検・調査、そしてそれらに基づいた経済・軍事進出は、支配地を単に搾取や隷属化するだけではなく、それらの地域を「近代化」するプロセスであった。一方、非欧米地域を近代化する政策、プロセスを研究することは「西欧近代」の本質の理解につながるのである。また、にほんの近代化を理解する研究である。 3. 重要性:今日の政治、金融、貿易、軍事バランスを鑑みると、19世紀のイギリスのインド統治や東アジア政策は、いわゆる「グローバリゼーション」の基礎となるものであったと考えられる。支配地域を「近代化」することによって、イギリスを中心とする経済、金融、外交、そして文化の世界システムに非欧米地域を取り込んでいくプロセスである。したがって、本研究は、現代の世界システムの形成期における重要な側面を分析し、その本質を知るうえで、非常に重要である。
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