研究概要 |
平成21年度は研究計画最終年度ということで、当初予定されていたように成果の集約化、国際的な場での発表、英文での公表を中心に作業を進めた。歴史理論の現状を『史学雑誌』の「回顧と展望」の場を借りて総括するとともに、国際歴史研究歴史叙述理論学会のメンバーと国立台湾大学史学科によって開催された会議において本報告書に記された表題の報告を行ない、またその翌日(10月20日)開催されたInternational Conference on Trans-Cultural Studies : Language, Figures, and Material Cultureというシンポジウムにおいて、国際的にも高名なヘイドン・ホワイト、ゲオルグ・イッガースらとともにパネリストをつとめ、比較史的な方法の問題を提起した。なおこの会議の後、会議にともに参加したヘイドン・ホワイトを主催する東洋大学人間科学総合研究所プロジェクト「歴史のトランスナショナル化とその問題点」をとおして招き、東洋大学、立命館大学で多くの研究者とともに、セミナーを通して現在の歴史学、歴史理論をめぐる問題を議論し、同じ関心をもつ研究者との議論を深めた。さらに平成22年1月にはアメリカ歴史学会に参加し、主として歴史理論のセッションに参加し、ロバート・ローゼンストーンやアラン・マンスロウなどの代表的な歴史理論研究者との相互に意見に交換した。以上の活動を含めて研究期間に新たに執筆した3本と改訂した論文1点を合わせた4本の英文論文(総計26,000語)をまとめたものを報告書として作成し、主として海外の研究者に送付し、意見を交換した。以上の活動を通して本研究の課題であった「グローバル化時代における歴史認識の方法」という問題に対して、その目標とした国際的な場での成果の発表ということに、ほぼ予定したとおりの成果を達成することができた。
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