本研究は滋賀県下の農業集落および都市でみられる水路について、環境民俗学的視点から現在の分布および機能を把握したうえで類型化を行い、また歴史的形成過程について解明することを目的とする。本研究においては、まず滋賀県下の集落内水路について現地調査によって概括的な把握を行ったうえで、その類型化を実施し、各類型の代表となる集落を10箇所程度選定し、その集落において集中的な調査を実施する予定である。また滋賀県下の集落内水路を相対化する上からも、また全国的な集落内水路の状況を把握する上からも、自治体史や民俗調査報告書、建築学や地理学からの集落調査の成果などの文献を検索し、必要な文献については収集し、将来的な集落内水路データベースの構築に備えたい。また滋賀県下の事例と比較するために、全国で8箇所程度の集落を選び、集中的な調査を実施する予定である。また集中調査を実施した集落については絵図、古文書などの調査を実施し、また周辺の考古学的なデータについても収集を行い、集落内水路の歴史的な形成過程について解明する作業も行いたい。以上の滋賀県下および全国の概要調査および集中調査によって、集落内水路の形態および機能の類型化、歴史的考察などを実施する。
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