研究課題
基盤研究(C)
本研究は、オスマン帝国に従属するワラキアとモルドヴァの二つの公国に注目し、両国をとりまく国際関係が、18世紀後半及び19世紀初頭にかけての時期にどのように変化し、両国がいかにして西欧世界に包摂されていったのか、その過程を、政治外交面を中心に実証的に明らかにすることを目的とするものである。従って本課題の研究遂行に当たっては、この問題を複眼的・総体的に考察するため、ワラキア・モルドヴァ両公国、オスマン帝国、西欧諸国、ロシア帝国のそれぞれの一次史料を利用することが必要であり、それらの調査・収集と分析が研究計画の多くの部分を占める。具体的には、まず本課題に関係する先行研究文献を網羅的に集め参照することによって、問題の背景をおさえる。そして1・2年目はルーマニアとトルコ、3年目はフランス、4年目はロシアにて、外交文書史料を中心とする現地史料の調査と収集を行い、帰国後にその収集した史料の分析を行う。そうした作業を通じて、(1)18世紀後半から19世紀初頭にかけての、オスマン帝国とワラキア・モルドヴァ両公国間の宗主・付庸関係の変容過程、(2)またそうした宗主・付庸関係の変容に大きな影響を与えることになった、同時期のロシアと西欧諸国(特にハプスブルク帝国とフランス)による両公国問題への関与拡大のプロセス、などを分析し、オスマン帝国というイスラーム世界の中核的な国家の支配下にあった現在のルーマニアの地が、次第に西欧諸国やロシアと様々な面で関係を深め、結果的に西欧を中心とする国際システムに包摂されてゆく初期の過程を明らかにする。
すべて 2010 2009 2008 2007
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)
東京国際大学論叢-経済学部編 第42号
ページ: 177-197
ロシア・東欧研究 第37号
ページ: 98-109