アジア地域を中心に設置された海外現地子会社と親会社間のマネジメント・コントロール・システムについて、これまでに親会社や現地海外子会社における経理担当者や情報システム担当者にインタビュー調査を行ってきた。そこで得られた結論は、現地における情報システムやその運営は業績評価システムや人事管理システムの根幹を成す重要な要素であるが、必ずしも本社からの統一的なSCMシステムや会計情報システムを使用しているわけではなく、子会社における情報システム選択の自由度が観察されたことである。素材産業型は顧客が特定化され、取引社数も少数なために独自のSCMシステムが使用される。組立・部品型産業は顧客も不特定で、取引社数・取扱部品数数も多いためにERPに代表される統一的なグローバルSCMが使用されている。同一企業でもカンパニーが異なれば、情報化投資も個別の組織ごとに実施され、使われる情報システムも異なる。
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