本研究の目的は、都市の中の商店街に着目し、商店街の持つ社会心理学的な機能を明らかにすることにある。商店街は、単純に、近隣での買い物といった消費生活の一環(消費意識形成機能)であるだけでなく、・個人と「場所」とを結びつける機能を果たす。「地元」という意識を持ちうるのは、商店街というものがあってこそである(地域意識形成機能)。また地元で形成される人間関係は幼児期より今に続くという意味で、また地縁にもとづくという意味で特別なものがある(人間関係形成機能)。さらに商店街でおこなわれるさまざまな催し物は土着性のある文化を生み出している(文化形成機能)。このような商店街の果たす社会心理学的機能を明らかにするものである。 本年度は昨年度に実施した首都圏30キロメートル圏内の社会調査(「商店街と地域に関する調査」)の結果を詳細に分析し、日本社会心理学会において発表した。また、商店街のインターネット利用状況についての調査結果から、中小企業事業団による2002年度の実態調査との比較を通して、商店街のインターネット利用のあるべき姿を分析した。 また、内外の商店街のフィールド調査結果をビデオなどの資料として整理し、わが国の商店街の今後の可能な対策について議論した。 以上の分析結果を「心の中のパッサージュ-商店街の社会心理学的機能」と題し印刷し(総ページ数139頁)、研究成果報告書として、関連機関、関連研究者に送付した。
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