研究概要 |
平成19年度は平成18年度までの研究において得られた仮説と比較検討しながら,新たな仮説を生成するためにデータの収集及び仮説生成を中心に研究が行われた。具体的には,国内外の学生相談機関を訪問調査し,資料を収集するとともに,その学生相談機関の活動の特徴を生み出す要因について検討を加えた。 平成19年4月〜8月にはインターネット等を利用し,訪問調査の対象となる大学及び学生相談機関の基礎的な情報の収集を行った。また,学生相談の経験が豊富な研究者2名から助言を得た。 平成19年9月〜12月には実際に訪問調査を行った。訪問調査の対象となったのは,イギリス・エジンバラ大学,大妻女子大学(東京都),安田女子大学(広島県)の3大学の学生相談機関ならびにそこで相談員として中心的に活動を行っているスタッフ計3名である。これらの訪問調査の結果から,おおむね次のような成果が得られた。 (1)その大学の学生相談機関の活動の特徴はその国,地域の文化的・制度的背景の影響を受けて形成される。(2)しかし,学生相談機関の活動の特徴を考える際に,分析の視点として,こうした視点を含めることがきわめて少ない。(3)大学の学生相談機関のあり方について,大学の持っている諸条件,その国や地域の持っている歴史や文化,制度等を勘案しないまま,望ましい方向性を規定することには問題が多い。 平成20年1月〜3月は,上記の成果を踏まえて,第27回日本心理臨床学会(平成20年9月開催予定)において,イギリス・エジンバラ大学における訪問調査の結果について成果を発表するための準備を行った。
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