研究概要 |
平成20年度は,平成19年度と同様な手続きを経て8大学の学生相談機関を訪問調査し,資料を収集した。また,平成19年度には,国内2大学および海外1大学の訪問調査を行ったが,平成20年度にはこのうちイギリス・エジンバラ大学の学生相談について,日本心理臨床学会第27回大会(2008年9月)においてポスター発表を行った。 平成20年度の訪問調査により得られたデータと,若手研究(B)「大学生の学生生活の充実化に向けた学生相談活動の改善方法に関する実証的研究」(研究代表者:伊藤直樹,課題番号:16730355,研究期間:平成16〜18年度)によって収集された国内12大学のデータおよび平成19年度に得られた国内2大学のデータと合わせて,22大学の学生相談機関の活動に関するインタビュー・データを得ることができた。 これらの録音データから逐語記録を作成し,22の大学に共通する要素の抽出を試みた。この結果,「大学」に関する要素と「相談員」に関する要素から,実際の学生相談機関の活動を表現しうることが示唆された。この成果については,日本心理臨床学会第28回大会(2009年9月)において発表予定である。 従来,学生相談機関の活動は先進的な活動を行っている少数の限られた大学の学生相談をモデルとして検討されることが多かったが,本研究で得られたモデル(試案)に基づけば,これまで評価されてこなかった多くの他の大学における学生相談活動を評価しうる可能性がある。この点が平成20年度の研究の成果である。平成21年度はモデルをさらに精緻化し,検証する作業を行う。
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