研究分担者 |
駒込 武 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (80221977)
木村 元 一橋大学, 社会学研究科, 教授 (60225050)
川村 肇 獨協大学, 外国語学部, 教授 (60240892)
高橋 陽一 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (70299957)
岩田 康之 東京学芸大学, 教員養成カリキュラム開発センター, 准教授 (40334461)
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研究概要 |
本年度は,特に以下の3つの項目についての調査を大きく進捗させることができた。 1.日本諸学振興委員会教育学会の教育学者に対する組織化の具体的諸相の分析を主に以下の3点から進めた。(1)教育学会での研究報告の精査。(2)日本諸学振興委員会に関わった個別の教育学者の著作・論文などの言説による教育学説の変容の問題の検討。(3)日本諸学振興委員会と国民精神文化研究所の関係などの調査。 2.日本諸学振興委員会各学会委員の人的構成について,『官報』の悉皆調査を行い,『官報』に掲載されている限りでの委員の任命・委嘱についての正確な時期の確定を行った。また,各委員に関するデータベース作成を各委員会ごとに分担して進めつつある。 3.日本諸学振興委員会と各大学との関係については,本年度は文部省との往復文書が残されていることが判明した関西地区のいくつかの大学を中心に,史料収集し,調査を進めた。場合によっては,日本諸学振興委員会に限らず,文部省教学局と大学の往復文書がかなり残されているケースも見られ,戦時下の文部省による,大学に対する思想統制・学問統制,学問・教育の再編成の動きの全体像解明に迫り得ることも明らかとなった。 なお,(1)日本諸学振興委員会の廃止経緯や戦後の影響に関する調査にも着手したが,本格的な調査・分析は次年度の課題となる。(2)日本諸学振興委員会の刊行物である『日本諸学』の内容分析は,次年度の各学会の報告集の内容分析とあわせて進めていく予定である。 本年度は,文部省の思想局・教学局による思想統制に関する研究や,教学局による修史事業に関する研究の発刊が相次いだが,本研究が調査しつつある日本諸学振興委員会や学問の内容そのものに踏み込んだ研究は他には見られず,本研究の成果を世に問うことの重要性は,一層増してきたと考えられる。
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