本研究は、子供たちが地域の農産物など特産物に関連して実際に自然科学的研究手法を体験しつつ、その産物にまつわる背景的歴史文化を学ぶという手法を取ることで地域を理解するという文理融合型カリキュラムの考案を目指すものである。具体的な農産物としては、津軽地方の近代化ときわめて興味深い歴史的関わりを持つにもかかわらずこれまでほとんど注目されていなかった藍を対象としている。現在の青森県はりんご産業が盛んだが、藍はりんご産業の基礎を築いた人々がりんごの前に産業化に取り組んだ農産物である。 平成19年度は、津軽藍を教材化するにあたり、藍の本場として知られ、学校教育の中でも取り上げられている徳島の教育を視察および資料収集することで、津軽藍ならではの教材化過程の検討を行った。特に、歴史的分野についていえば、徳島から明治初期に津軽地方へも藍染めの指導者が来ていることが青森県側の資料に残っており、これらの人物の具体的軌跡をつまびらかにすべく歴史資料調査も重点的に行った。その結果、歴史的内容に関する基礎資料の収集および、小中高等学校の学校行事の枠内での具体的展開方法の実践例の収集ができた。 また、科学分野については、藍の本場での実際の学校教育において、どのように藍染めを体験させ、またその科学的効用にどのくらい注目させているかということについて、主に藍住町内の小学校および藍の館での児童の活動の様子を視察した。 これらの内容を踏まえ、次年度の具体的カリキュラム作成へと展開する予定である。
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