研究概要 |
釧路高専の1・2学年において3回,協力高専の1学年において2回,Q-Uテストを実施した。その結果,発達障害に類する躓き(こだわりが強い,場の雰囲気を読めない,会話がぎこちない,ソーシャルスキルが低い等)を示す学生のデータに着目すると,Q-Uプロットにおいて侵害行為認知群,学級生活不満足群,非承認群の中から抜け出すことが出来ず,学級生活満足群に移動できない様子が見えてきた。 例えば,雰囲気を読むことが苦手な学生では,当初は満足群に居ても,時間の経過と共に周囲との違和感を感じる為か,侵害行為認知群にシフトして行く。また,こだわりが強いタイプの学生の場合には,プロット上の位置の変動が小さいという傾向も読み取れた。例外的に,不満足群から満足群の方向ヘシフトして行ったケースがあったが,クラスの中で似たようなタイプの者同士で交流を持ち,クラス内での居場所が確立した為と考えられる。また,着目した学生達は,年度の途中で行った結果が良いケースが多く,雰囲気の変わったばかりの年度当初や最終成績が確定する年度末はストレスを感じていることが推測された。 H19年度においては,学内行事等の都合により適切な時期にアンケートを実施出来ず,それに伴い,当初目的としていた担任などへのサポートが出来なかった。Q-Uテストの意味自体は理解してもらえたが,その結果を踏まえた詳細な解析と対処法に関する議論が不十分であった。データの活用法の担任などへのレクチャーの難しさが改めて明らかとなった訳だが,その中からH20年度におけるレクチャーでは,担任が実際に関わったことのある学生のデータを基とした事例検討が必要であろう事が推測された。
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