研究概要 |
釧路高専及び他校における学生支援実践から現状を整理するために,学生支援を(1)欲求階層(2)支援内容(3)支援規模(4)支援場面(5)支援対象という五つに分類した。現状で不足しているのは「支援規模」の観点から,META支援(システム整備,情報共有),MACRO支援(学級経営,キャリア教育)である事が推測された。また,現状では「支援場面」として対処療法的な逐次支援が主である。今後の方向性として,教職員間での情報共有を充実させ,場面支援,包括支援を目指していく必要性があることを指摘した。 Q-Uの実施により,発達障害を中心とした個別の支援が必要とされる学生を機械的に抽出するという事は困難であった。しかし,気になる学生の回答結果を元に担任が個別の面談を設定するきっかけになり,学年団として学生指導に関して議論する際のツールとしては有効である事が確認された。つまり,Q-Uの実施は「担任が学級運営というMACRO支援を行う事」を学校システムとしてMETA支援するという意味があった。 障害や疾病に関する学生支援の場合,教職員間での情報共有と同時にデリケートな個人情報を扱っていることを意識し,集団守秘を守る必要がある。その為,個人情報を扱う際のガイドライン,入学時点における情報収集のあり方,対応記録のとり方,個別のファイル作成の説明書と学生本人・保護者からの同意書等の書式を提案した。本研究終了後,実際の教育現場での学生支援に活用しながら不備を修正して行く予定である。
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