この研究の目的は数え上げ組合せ論に現れる行列式やパフィアンとそのq-analogue について、超幾何級数や直交多項式等の関係からのアプローチであった。これらの行列式やパフィアンは d-complete posets の hook formula や対称性を考慮した平面分割の数え上げ問題、Stanley の FPSAC における open problem など、いろいろな所に現れ、その考察において、色々な発展を得て論文にした。1つは、ordered partitions の数え上げに現れる行列の評価である。もう1つは、StanleyのFPSAC におけるopen problem に現れる重み関数を一般の分割にわたって和を取ると、Askey-Wilson多項式の特別な場合であるAl-Salam-Chihara 多項式と深い関係があることがわかった。また、カタラン数を成分とするハンケル行列式のlattice pathを使った証明は有名であるが、その拡張として成分にlittleq-Jacobi多項式に持つハンケル行列式も、同様の結果を持ち、同様にlattice path を使って説明できることを示せた。これらの結果は、それぞれの論文にまとめてある。また、内外の研究集会で研究成果発表を行った。この他にも、最近では、平面分割の数え上げ問題と数理物理学の関係の研究が盛んである。特にq-KZ方程式に関する Razumov-Stroganov 予想に関連してq-KZ方程式と様々な対称性を考慮した平面分割の数え上げ問題とFPLの関係が研究されている。この方面でも、TSSCPP の数え上げ問題と constatnt term identityなどの研究成果があった。
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