研究概要 |
1.本研究の研究目的の一つに「可算無限個の全有界でストレートである距離空間の積空間がまたストレートになるか?」という問題の解決を挙げているが,残念ながら今年度はその完全解を得るに至っていない。しかしながら,有限個の全有界でストレートである距離空間の積空間がストレートになることは分かっている。一方,この可算積空聞の稠密な空間で,有限積空間と一様同相である空間の可算和で表せる空間(Σ積と呼ばれている。)がストレートになる可能性が出てきた。この空間を利用することが,問題解決の問題の糸口になるのではないかと現在研究中である。 2.位相空間論における有名な問題の一つである「すべてのM_3-空間は,M_1-空間となるか?」という問題において,(すべてのM_1-空間は,M_3-空間となることは知られている。)今年度,横浜国立大学の玉野氏によって価値ある結果が示された。また,M_3-空間から生成される自由可換位相群はまたM_3-空間になることも知られている。これらの結果を応用すると,M_3-空間から生成される自由可換位相群はM_1-空間になることがわかった。つまりこの位相群は,M_3-空間を含む空間である。このような例は,これまでひとつだけ知られていたが,位相群としては最初の例である。このことより,さらに「M_3-空聞から生成される(可換ではない)自由位相群はM_1となるか?」,「M_3である任意の位相群(可換位相群)はM_1となるか?」という本来の問題の部分解となる問題が考えられたが,決着は得られていない。大きな問題なので,あせらず時間をかけて研究をしていきたい。
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