正則写像の正則拡張性に関する定理の一つの応用として、複素解析的3次元クライン群の理論の基礎部分の構成を試みている。 複素解析的3次元Klein群については、過去に得ていた結果の付帯的な条件を除去に成功した。すなわち、有限個の4次複素射影変換で生成される複素3次元射影空間に作用する離散群Gが与えられたとき、(1) Gの標準的不連続領域の定義付けと、(2) 標準的不連続領域の群Gによる商空間に関する結果である。(1) 上述の離散部分群Gが複素解析的3次元Klein群であるとは、3次元射影空間の直線をparametrizeするGrassmannianへの群Gの作用が空でない不連続点集合を持つことである。このとき3次元射影空間から(Myrberg等の古典的な結果を用いて)しかるべく定義された趣限直線を除いた集合Ω(G)を、Gの標準的不連続領域という。このとき、GはΩ(G)に固有不連続に作用する。(2) 商空間Ω(G)/Gは複素解析的空間となるが、必ずしも連結でない(実例がある)。もしその中にcompactで代数次元が正の連結成分があれば、Ω(G)/Gは連結で、Ω(G)は3次元射影空間の高々2本の直線の補集合であることが証明される。これらの結果はJournal of the Mathematical Society of Japanから出版予定である。 従って次は、Ω(G)/Gがcompactで代数次元が零であるような連結成分を持つ場合を研究することが課題になる。特に、ある連結成分が因子を含む場合に、多少手がかりを得た。予備的な結果をまとめたものはTokyo Journal of Mathematicsから出版予定であるが、本質的な部分はこれからの課題である。
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