研究概要 |
熱方程式などの放物型方程式に対し,その解空間の構造および,底空間の幾何学的状況などとの関係を解の積分表示などポテンシャル論的手法を用いて詳細に解析することが本研究の目的である.対象となる放物型方程式は,ユークリッド空間およびリーマン多様体上の熱方程式,高階の放物型方程式である多重熱方程式,および,ラプラシアンの分数ベキを含んだ擬微分方程式である.熱方程式を保つ変換の研究においては,3次元以上で次元が等しい場合の回転不変計量に関する決定問題を解決し,その成果は学術雑誌に発表した.今後は計量が不定値の場合を問題としたい.次に,分数ベキの放物型方程式と放物的ベルグマン空間についての研究では,放物型ベルグマン空間上のトエプリッツ作用素やカルレソン埋め込みについて研究し,その小ささを表す指標であるシャッテン族やヘルツ空間の概念に基づいて研究を進めた.成果を論文にまとめ,学術雑誌にて発表した.補間問題やその双対であるアトム分解についてもさらに研究が進展し,いくつかの成果が得られた.現在論文を準備中である.調和双対に関する結果については新たに時間変数に関する分数べき微分を用いて、非常に美しい結果が得られ,論文発表を行う予定である.今後は,指数が無限の場合に対応するブロッホ空間へと研究をすすめていく計画である.また,最近ベルグマン核と多重ラプラス方程式との関係が明らかになりつつあり,この方面における研究のさらなる進展が期待される.
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