研究概要 |
物理学におけるソリトンの研究に端を発する可積分系の理論は,1980年代に「KP階層」(佐藤幹夫・佐藤泰子),「量子群」(神保道夫,V.G.Drinfeld)などといった数学的概念を生み出し,数学全体に対して大きな影響を与えている。可積分系の研究は,大別すれば「古典可積分系」,「量子可積分系」の2つに分類できる。量子可積分系は,対応する古典系を正準量子化したものであるので,両者はこの意味では初めから関係付けられている。しかし,両者にはそれ以上の結びつきがあることを,これまでの研究は示唆している。そこで本研究では,KP階層を中心とする古典可積分系理論から可積分系における「量子・古典対応」に迫り,背後にある数学的構造を解明することを目的としている。 具体的なテーマとしては,以下の2つを中心として扱う。 (1)古典可積分系の行列積分解とパンルヴェ系,ガルニエ系 (2)離散古典可積分系とヤン・バクスター写像 この2つを中心に,両者の関係,および関連する話題にも目を配りつつ研究を進める。
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