研究概要 |
1.実験装置の製作および実験データの収集 予備実験で使用した装置を原型として新たに実験装置(一様熱流束加熱条件)を製作した。その際、噴流部のノズル内径は、5,8、10、13mmとし、多孔体は、空隙率、PPI,厚さの異なるAg,Cu,Ni,Ni-Crセル状多孔体、計16種を使用した。比較対照のため、流路高さ1-10mmで多孔体がない場合の実験も行った。供試ガスには、窒素を使用し、流量範囲は、1-12l/minで実験をおこなった。熱流束は、2.44kW/m2で固定した。本実験では、壁温分布はほとんど一定であったので、これより、伝熱面は等温壁と考え、平均ヌセルト数Nuを算出した。また、圧力損失は、水および水銀マノメータで測定した。レイノルズ数Reの代表径にはノズル径を使用した。 2.熱伝達の整理 多孔体のない場合、Nuは、Reとともに増加するが、流路高さに対しては複雑な依存性を示した。また、多孔体を設置した場合、Nuは、Reおよびノズル径とともに増加する。多孔体設置による伝熱促進効果は、多孔体厚さが小さい場合に生ずる。さらに、Nuを、Reのべき乗で近似した場合、係数は、流路高さ、ストラツト径、有効熱伝導率、ノズル径の関数として整理できる。 3.圧力損失の整理 多孔体のない流路の場合、圧損は流路高さが小さいものほど大きい。多孔体を設置した場合、同一種のものであれば、多孔体厚さの小さいものほど圧損は大きい。また、圧力損失はDarcy-Forshheimer則を基礎に良く整理できる。 4.理論解析 本実験結果より、多孔体をヒートシンクとした場合、淀み点領域での熱伝達は、多孔体の存在のため通常の衝突噴流熱伝達の場合と異なり大きく上昇せず、Nuは、むしろ壁領域での伝熱で支配される。この知見にもとずき速度場は十分発達しているが、温度場は未発達の状態にあるとしてエネルギ式に流れ方向の2階の熱拡散項まで考慮して、熱伝達を解析した結果、実験結果との比較的良い一致が得られた。
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