研究概要 |
1.衝突噴流壁領域の熱伝達 淀み点領域とともに壁領域での熱伝達を明らかにするため、本年は新たに環状半径流実験装置および環状多孔体ヒートシンクを製作した。ヒートシンクは空隙率、厚さの異なるAg,Cu,Ni,Ni・Crセル状多孔体20種類を使用し、寸法は全て内径φ6mm,外径φ54mmとした。また、供試ガスは窒素とし、流量範囲は2,4,6,8,10,12(1/min)、熱流束は2.05(kW/m^2)で、加熱面温度を13箇所で測定した。これらの測定より、平均ヌセルト数NU_mおよび半径方向の局所ヌセルト数Nu_rを求めた。環状多孔体の場合のNU_mは同条件下での円板状のものよりも大きく、その伝熱促進効果は顕著であった。また、円板と同様に、NU_mはReのべき乗で近似した場合、流路高さH、ストラット径、有効熱伝導率の関数で整理できる。また、Nu_rの測定結果より、多孔体がない場合はHが増加するにつれてノズル近傍の熱伝達が減少する一方、壁領域での熱伝達が増加することがわかった。環状多孔体の挿入した場合は、H=10mmの場合を除き、局所熱伝達の増加は特に壁領域で顕著で、多孔体なしに比較して最大2.2倍程度になることが確認された。 2.前置冷却器を用いた入口ガス温度低下による物体表面温度低減効果についての実験 前置冷却器としてボルテックスチューブを使用した。作動流体として窒素を用い、入口圧力0.4(MPa)、流量6,12,24,30(N1/min)、流量比(冷却器冷風出口流量/入口流量)0.5,0.75,1.0の条件下で研究を行った。ヒートシンクは環状多孔体である。最大10℃程度の動作流体の温度低下がみられたが、性能比(多孔体挿入時のヌセルト数/多孔体無のヌセルト数)の結果より、熱伝達は冷却器を使用しない衝突噴流の方が良好であり、結果として伝熱面温度低減効果に及ぼす効果は限定的であることがわかった。
|