開港前後に誕生した日本洋家具発祥の一つである「神戸家具」は、唯一現代に継承される希有な地場産業であり、「生きている近代化遺産」とも言える。今日まで系統的に記された機会の無かった戦前の歴史を4期に分け概要をまとめた。また、今日他ではほとんど見られなくなった、独特の高い技術である膠(にかわ)による接着および、ほぞ接合の技術についてまとめた。 後半では、「神戸家具」の伝統的技術を用いた数脚の椅子の試作を通して、今日の消耗品化する傾向にある「雑貨的家具」とは対極にある無垢木材による修理可能で半永久的な強度を実現している家具の今日的な可能性を探っている。
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