平成22年度は、科学と技術のための核データ国際会議(ND2010)にて「(7)成果発表」を行った。平成19年度から21年度までの間の研究によりに得られた中高エネルギー領域における中性子、陽子および光子入射核分裂反応断面積の統一的な記述に対する系統式の予測精度、中高エネルギー粒子輸送シミュレーションコードへの導入およびその他の応用等についてまとめたものを発表した。現時点では、実験データの少ないマイナーアクチノイド(MA)核種に起因するような本格的なベンチマーク問題が存在しないため、ウラン等の主要アクチノイドにかかわる計算結果については、従来の結果と比較して経験式の予測精度に問題はなさそうである。また、主目的である中高エネルギー領域での実験データの少ない核分裂断面積の予測精度に関して、現状の実験データとの比較からは10%程度であることを示すことができた。同会議において核分裂研究を行っている研究者と議論した結果、MA核種(Np-237など)に関する新しい実験データがCERNなどで測定されていることがわかったが、本研究に含めるには公開が間に合わなかった。今後も、本研究の成果を用いて、より予測精度の高いものに改訂することを検討したい。
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