研究概要 |
キナーゼCdk2をコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を用いて大量調製する系を確立した。mRNAの量や、反応のpH、反応の温度を最適化することにより、NMR測定に必要な十分量のCdk2を合成する条件を確立できた。次に、得られたCdk2を、様々なバッファーに溶解したのち、室温で数日間放置し、沈殿が生じるかどうかを確認することで、Cdk2を安定に保つことができる測定に最適なバッファー条件を絞り込んだ。そして、^<15>N/D二重標識された20種類のアミノ酸を基質のアミノ酸として使用することにより^<15>N/Dでの均一標識体を作成し、上記で決定したバッファー条件において良好な^1H-^<15>N TROSY-HSQCスペクトルが観測できることを確認した。このバッファー条件において、Cdk2の主鎖のアミド基由来のシグナルについて、プロリンを除く残基数の7割以上を観測することができた。さらに、Cdk2について、コムギ胚芽無細胞タンパク質合系を用い、1種類のアミノ酸だけが^<13>C/^<15>N/Dで三重標識され、他のアミノ酸が^<15>N/Dで二重標識されたものを合計20種類作成した。この20種類の標識体について、HN(CA), HN(CO), H(N)CA, H(NCO)CA, H(N)CO, H(NCA)COなどの各種2次元NMRの測定を行った。現在、そのデータを基に主鎖由来のNMRシグナルの帰属を行っている途中であるが、観測したシグナルの7割程度が既に帰属できている。
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