研究課題
動脈硬化の危険因子としてい知られる血漿ホモシステイン(Hcy)濃度に及ぼす食餌タンパク質およびアミノ酸の影響をラットを用いて検討し、以下の成績を得た。(1)メチオニン(Met)はHcyの唯一の前駆体であることから、Met摂取量の増加は血漿Hcy濃度を上昇させると考えがちであるが、我々は、高タンパク質食はMet摂取量を増加させるにも拘わらず血漿Hcy濃度をむしろ低下させることを見いだしている。この現象をいくつかの実験を行って解析し、高カゼイン食の投与はMet代謝を促進するSerやGlyの摂取も多くなること、Hcy代謝に関わる酵素活性を上昇させ、この両者が血漿Hcy濃度の上昇を抑制していることを明らかにした。また、シスタチオニン合成酵素やそのmRNA量はMet摂取量よりもアミノ酸摂取量に影響を受けて変化することなども見出した。(2)カゼイン以外に乳清アルブミンや卵アルブミンなどを食餌タンパク質源として血漿Hcy濃度やHcy代謝に及ぼす影響を検討し、これらをタンパク質源とした場合も低タンパク質食の投与はむしろ血漿Hcy濃度を上昇させることを見出した。また、乳清アルブミンはカゼインに比べて血漿Hcy濃度を低下させるが、これは乳清アルブミンがCysを多く含むことが関与することを明らかにした。(3)低タンパク質食でコリン欠にすると血漿Hcy濃度は顕著に上昇することを我々は見いだしている。コリン欠食に0.5%Metや2.5%Serを添加しても血漿Hcy濃度の上昇は抑制されないが、0.5% Met+2.5%Serを添加した場合には血漿Hcy濃度の上昇は効果的に抑制されることを見いだし、その効果の機構を解析した。
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