研究課題/領域番号 |
19580297
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 史彦 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30284912)
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研究分担者 |
内野 敏剛 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70134393)
濱中 大介 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (60399095)
守田 和夫 鹿児島大学, 農学部, 教授 (70210169)
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キーワード | 食の安全 / 予測微生物学 / リスク分析 / リスク除去 / リスク評価 / 数値流体力学 / 確率予測 / シミュレーション |
研究概要 |
本研究は、農産物や食品に付着する微生物の成長・死滅を動的に予測するシミュレーション技術の開発を基礎とし、安全な食生産システムの高度化を図るものである。本年度は、以下の4課題について研究を遂行した。すなわち、1)貯蔵施設内の空調計画、2)環境パラメータの微生物死滅に及ぼす影響、3)微生物の付着・成長パターンの解明、および4)微生物洗浄除去に関する研究である。まず、貯蔵施設内の空調計画では、微生物の浮遊と成長の要因となる気流と温度の時空間分布を予測するモデルを構築し、妥当性の検証を行った。また、微生物の浮遊を予測するLagrange粒子追跡についてもモデルを構築した。つぎに、環境パラメータの微生物死滅に及ぼす影響についての研究では、粉体食品の気流乾燥工程における加熱殺菌を想定したモデルを構築し、乾燥温度や材料水分などのばらつきが加熱殺菌に与える影響について検討した。具体的には、実験パラメータ(物性値など)が分布を持つ場合の材料加熱むらについて検討し(雑誌論文に公表、2件)、殺菌の達成度が十分であるか否かを評価する手法を提示した。微生物の付着・成長パターンの解析では、農産物表面に形成されるバイオフィルムを対象とした付着・剥離について実験を行い、菌種や温度、栄養分濃度が与える影響について調査し、バイオフィルムが形成されにくい条件を示した。最後に、微生物洗浄除去に関する研究では、食品製造機器表面の電解水による汚れ除去を想定し、ステンレスに付着したタンパク質の除去効果について検討した、この結果、電解水の洗浄効果が認められた。機器表面の汚れは、微生物汚染の原因となるため、速やかな除去が必要である。洗浄の要素技術として重要であることが示された。以上、本研究は食の安全性確保を支援する成果である。
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